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北小路 肉丸の自分史・・つまり「肉丸史」

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第12話・ジェロニモ

泥棒は、母の安い指輪などを盗んだだけで、それ以外は何も盗まなかったみたいです。

まぁ、大きな家(当然借家)には住んでいましたが、中身はとても貧乏で盗むものなど何もなかったのです。

ボクはこの家が凄くお気に入りでした。

広い土間で、お正月に餅つきをした記憶も残っていますし、平屋の広い居間は走り回るのに最高でした。

そして、庭も広く、大きな2本の木とその間を走り回るシェパード犬・・。


しかし、泥棒事件のあと、すぐに引っ越すことになりました。

チビが泥棒を捕まえて帰ってきたら迷子になるよ・・という私に、ちゃんと近所の人に言っているから大丈夫、とだけ伝えられました。

お弟子さん達も、私たちは別の場所に住むことになりました。

引っ越し先は、6戸ほどが入居するオンボロなアパートでした。

今思えば、その頃が貧乏の絶頂期だったかもしれません。


遊び相手のチビも、初めての人間の友達のカマダ君たちとも離れました。

一人で遊んでいた時は寂しさを感じませんでしたが、一度、友達と遊ぶ楽しさを知ってしまうと、一人で遊ぶことはつまらないのです。

お弟子さん達もいなくなり、食卓も寂しくなりました。


アパートの前は市電も通る広い道路で、危ないと注意されていました。

住んでいたのは、アパートの1階でしたが、外の階段から2階の踊り場に上がり、ずっと風景を見ていました。

近くに市電の車庫があり、2階の踊り場から電車が行ったり来たりと動いているのが見えたからです。

「電車が好きなのか?」

後ろからの声に振り向くと、サイボーグ005のジェロニモのような大きな男が立っていました。
ジェロニモ


ジェロニモは後ろからヒョイとボクを持ち上げて、肩車をしてくれました。

踊り場から見える風景が一変しました。

遠くに見えるテレビ塔と同じ高さになったと感じました。


ジェロニモはキヨシという名前で、お母さんと二人っきりでアパートの2階に住んでいます。

多分、当時は20才くらいじゃないかと思います。

お父さんは、アメリカの兵隊さんでベトナムという所に行っていて、その間、お母さんが生まれ育った北海道に来たらしいです。

しかし、お母さんの実家ではなく、札幌のおんぼろアパートに住んでいた事情などは、子供には分からないことでした。


ボクは、ジェロニモを見つけるたびに肩車をせがみました。

2階の踊り場から肩車しながら階段を下りる時のスリルも最高でした。


特に記憶に残っている思い出は、アパートの住人が集まり、ご飯を食べたことです。

外にテーブルを出し、アパートの住民が一品ずつ持ち寄っての夕食は、お弟子さんたちがいた頃の食卓より賑やかでした。


しかし、その楽しいときも短く、私たちはまた引越しをすることになりました・・・。
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